[第10話]コロナショック。資産も仕事も止まった、それでも積立を止めなかった理由

投資を始めてしばらく経った頃。

あの日は突然だった。

ニュースが騒がしくなり始めた。

コロナウイルス。

都市封鎖。

世界同時株安。

最初は、どこか他人事だった。

でも、数日後。

証券口座を開いた瞬間、

空気が変わった。

数字が、明らかに違う。

マイナス。

それも、これまでとは桁が違う。

数%じゃない。

数十万単位で減っている。

一瞬、思考が止まった。

「え?」

何度も更新する。

変わらない。

むしろ、下がる。

テレビは不安を煽る。

リーマンショック級。

世界恐慌。

経済停止。

正直に言う。

怖かった。

本気で、やめようかと思った。

今ならまだ傷は浅い。

これ以上減る前に売るべきじゃないか?

頭の中で声がする。

「守れ」

「逃げろ」

「現金が一番安全だ」

トイレに入るたび、株価をチェックした。

当然、真っ赤だ。

でも、もっと怖かったのは――

相場だけじゃない。

社会全体が止まった。

経済が止まった。

そして、

僕の仕事も止まった。

自営業には直撃だった。

売上が読めない。

入金が減る。

先が見えない。

貯金はある。

でも、

家族の生活はどうなる?

この状況で、さらに投資を続ける?

入ってこない現金。

減っていく評価額。

二重の恐怖だった。

――

でも、今振り返ると

僕はある意味、守られていた。

当時の資産バランス。

現金700万円。

株式150万円。

投資を始めたときに決めた

「現金は半分以上残す」

というルール。

そして今は、

「最低1000万円は現金で残す」

これが大きかった。

もしフルポジションだったら。

もし余裕資金を超えていたら。

あの精神状態で、

積立を続けられただろうか。

たまたまだったのかもしれない。

でも、

勉強して決めたルールが

僕を支えていた。

点だった知識が、

この瞬間、線になった。

――

それでも怖かった。

夜、眠れない日もあった。

朝起きて、まず口座を開く。

また減っている。

仕事中も、どこか落ち着かない。

それでも――

積立は止めなかった。

むしろ、こう思った。

「同じ商品が安くなっている」

怖い。

でも、逃げない。

続ける。

それだけを決めた。

数ヶ月後。

相場は少しずつ戻り始めた。

あれだけ真っ赤だった画面が、

徐々に色を変えていく。

あのとき、売っていたら。

あのとき、積立を止めていたら。

今の自分はいない。

コロナショックで学んだこと。

投資は、知識の勝負じゃない。

“覚悟”の勝負だ。

そしてもう一つ。

このコロナショックは、

僕の投資人生の中で

確実に“スキルが上がった期間”だった。

暴落の相場に居合わせるのと、

外から眺めているのとでは、

天と地の差がある。

あの恐怖の中で続けた経験が、

僕の投資の土台になった。

あの日から、

僕は本当の意味で

「市場の中にいる人間」になった。

そして最後に、これだけは強く言いたい。

これから投資を始める人へ。

許容範囲を超えるな。

余裕資金を超えた瞬間、

それは投資じゃない。

ギャンブルになる。

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