[第7話]一番のギャンブルは、無知な自分だった

気づけば800万円になっていた。

もちろん、仕事には全力だった。

毎日13時間働いた。

15万。20万。25万。30万。35万。

努力すれば結果に繋がる。

結果に繋がればお金が残る。

自営業の世界はシンプルだ。

やった分だけ、

残るお金が変わる。

だから僕は、

「稼いで、貯める」ことだけをやってきた。

投資はしなかった。

正確に言うと、

しなかったんじゃない。

拒否していた。

親からは何度も言われていた。

「投資は早く始めたほうがいい」

でも当時の僕には、

投資はギャンブルにしか見えなかった。

上がるか、下がるか。

当たるか、外れるか。

そんな不確実なものに、

自分の汗で稼いだお金を入れる意味が分からなかった。

守っていたわけじゃない。

戦略があったわけでもない。

ただ単に、知らなかった。

マネーリテラシーがなかった。

怖かった。

それだけだ。

800万円を超えた頃、

時代は完全に情報社会に入っていた。

YouTube。

SNS。

投資系の発信。

それまで触れてこなかった世界が、

一気に目の前に広がった。

そこで初めて思った。

「あれ、俺、まずいかもしれない」

貯めることはできた。

でも、増やすことを何も知らない。

インフレ。

複利。

資産運用。

言葉は知っている。

でも、説明はできない。

800万円あっても、

頭の中は6万円の頃と変わっていなかった。

その事実が、怖くなった。

そこで初めて、

僕は“学ぶ側”に回った。

朝1時間。

夜1時間。

毎日、勉強した。

仕事は今まで通り全力。

その上で、さらに時間を作った。

正直、楽じゃない。

眠い日もあった。

やりたくない日もあった。

でも焦っていた。

「知らないまま金額だけ増える」ことが、

一番のリスクだと気づいたからだ。

1年間、ひたすら学んだ。

仕組みを理解するまで。

自分の言葉で説明できるまで。

そしてようやく思えた。

投資はギャンブルじゃない。

無知な自分が、

一番のギャンブルだったんだ。

そこで初めて、

投資を始める決意をした。

お金を増やすためじゃない。

無知のままでいたくなかったからだ。

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