[第9話]初めての含み損。理屈が通用しなかった日

初めて買った。

「よし、これで俺も投資家だ」

そう思った数日後――

下がった。

評価額がマイナスになった。

たった数%。

でも、心は大きく揺れた。

「やっぱり早すぎたか?」

「もっと待てばよかった?」

「今やめた方がいい?」

頭では分かっている。

長期。分散。積立。

勉強したはずだ。

下落は“普通”だと知っていた。

でも、

実際に自分のお金が減ると、

理屈は簡単に吹き飛ぶ。

800万円あっても、

マイナス表示は普通に怖い。

スマホを何度も開く。

評価額を確認する。

下がってる。

また見る。

また下がってる。

そのたびに、心も少し下がる。

そこで気づいた。

僕はまだ、

「値動き」に支配されている。

投資を始めたつもりだった。

でも、本当の勝負はここからだった。

やめるのは簡単。

積立を止めるのも簡単。

でも、あのとき思い出した。

1年間、勉強した理由。

無知でいるのが怖かったからだ。

値動きが怖いから始めたんじゃない。

未来を変えたいから始めた。

だから――

何もしなかった。

売らなかった。

止めなかった。

ただ、続けた。

そして気づいた。

投資の一番の敵は、

相場じゃない。

自分の感情だ。

ここで逃げなかったことが、

後の自分を助ける。

あの日の「続けた」は、

未来の自分への投資だった。

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