カテゴリー: 40歳、バイト日記

40歳、バイト日記

資産6000万円を築いた僕が、
カラオケ店でバイトを始めた。

できない自分。
戸惑い。
人間関係。
現場で感じたリアルな感情を、そのまま記録しています。

完璧じゃない40歳の、成長途中の記録。

  • 第3話|うまくいった日と、捨てた焼き鳥

    今日は、ちょっとだけうまくいった。

    バイト4日目。

    昨日までとは違った。

    動きが少しわかる。

    次に何をすればいいか、ほんの少し見える。

    声も出せた。

    社員さんとも自然に話せた。

    「頑張ってますね」

    その一言が、地味にうれしかった。

    今日、60代後半くらいのお客さんの部屋に入ったときのこと。

    デンモクの使い方がわからない様子だった。

    「民謡歌いたいんだけど、どこにあるかわかる?」

    正直、僕はカラオケにあまり行かない。

    民謡なんて歌ったこともない。

    しかも機種はジョイサウンド。

    探し方が正解だったのかもわからない。

    本当は一度報告すべきだったのかもしれない。

    それでも、とりあえず必死に探した。

    曲名検索。

    ジャンル検索。

    思いつく限り触ってみる。

    数分間、部屋の中で一緒に画面を見つめた。

    結局、見つからなかった。

    「ごめんなさい、ちょっと見つからなくて…」

    そう言うと、

    「いいよいいよ、ありがとうお兄ちゃん」

    そう言ってくれた。

    その一言で、救われた。

    僕の働いているカラオケは持ち込みOK。

    テーブルの上には焼き鳥が山ほどあった。

    「これ、1串あげるよ」

    とっさに断った。

    「いや、大丈夫です」

    でも何度も勧められた。

    断り続けると、

    なんとなく空気が変わりそうだった。

    じゃあ、ありがとうございます。

    受け取った。

    でもその場では食べなかった。

    仕事中だし、

    さすがにまずいかなと思った。

    そのまま持ち帰り、社員さんに聞いた。

    「こういう場合ってどうすればいいですか?」

    答えはシンプルだった。

    「残念だけど、破棄してください。」

    会社のルールだから仕方ない。

    頭ではわかっている。

    でも、正直つらかった。

    僕は食品ロスが大嫌いだ。

    以前、仕出しの仕事をしていたからなおさらだ。

    食べられるものを捨てるのが、どうしても嫌だ。

    本音を言えば、

    あの部屋で「うめー!」って言いながら

    くれた本人の前で食べたほうがよかったのかもしれない。

    最初から、もっと強く断るべきだったのか。

    それとも、会社のルールを優先するのが正解なのか。

    今日はうまくいった日だった。

    動けた。

    褒められた。

    昨日より確実に前に進んだ。

    それでも最後に、

    焼き鳥をゴミ箱に入れた瞬間が、頭に残っている。

    仕事って、

    自分の正義だけでは動けない。

    でも、人としての感覚も失いたくない。

    明日はもう少し、

    うまく立ち回れるだろうか。