全国展開している某有名カラオケ店でアルバイトを始めて、少しずつ仕事に慣れてきた頃のことでした。2日前、突然の店長交代という大きな変化が訪れました。新しい店長が別の店舗から着任し、現場の空気は一変しました。
今まで大切に積み上げてきた仕事のやり方が、まるで砂の城が崩れるように否定されていく感覚。今まで「これが正解」と教わってきたことが、新しい店長の方針では「間違い」とされる。そんな状況に、現場は戸惑いと混乱で満ちていました。
お酒の作り方ですら「正解」が変わる、ピリピリとした現場の空気
最も戸惑ったのは、お酒の作り方という「現場の基本」すら変わってしまったことです。昨日まで正しいと信じていた手順が、今日は違う。他のスタッフから教わった方法で準備を進めていると、新しい店長からはまた違う方向性を指示される。そんなことが続くと、何が本当に正しいのか分からず、ただただ立ち尽くしたくなります。
休憩室やカウンターの裏では、スタッフ同士の言い合いも絶えません。「今まではこうだった」という主張と、「これからはこうする」という方針のぶつかり合い。理不尽さを感じて胸がざわつく夜もありました。「自分たちの努力は何だったんだろう」と、ふと肩の力が抜けてしまうような、そんな張り詰めた空気が店内に流れていました。
理不尽さに胸がざわつく夜。葛藤の中で「一旦受け入れてみる」と決めた瞬間
正直なところ、最初は抵抗感がありました。でも、ふと旅先で新しい美味しいものに出会った時のことを思い出したのです。「熱海、これ良い、試して正解」と、自分の価値観を少し広げて受け入れた時のあの感覚。今回の仕事も、同じように捉えてみようと決めました。
店長の指示には戸惑うことも多いけれど、まずは素直に新しいやり方を試してみる。どちらが正解かなんて、まだ誰にも分からないのかもしれません。それでも、新しい方法を一度飲み込んでみるという「挑戦」を始めたとき、少しだけ心が軽くなった気がしました。反発するよりも、まずはやってみる。その姿勢が、この混沌とした現場で自分を保つための唯一の術だったのかもしれません。
あの時、酔っ払って歌っていた自分が恥ずかしくて。裏側に隠された「誰かの頑張り」へのリスペクト
カラオケ店で働くようになり、以前の自分を少し恥ずかしく思うことがあります。かつては客として、お酒を飲んで酔っ払って、歌を歌って帰るだけでした。その裏で、株式会社第一興商のような店舗のスタッフが、新しい方針や予期せぬトラブルにこれほどまでに頭を抱え、試行錯誤しているなんて、想像もしていませんでした。
カウンターの裏で繰り広げられる、見えない苦労や葛藤。それらは、華やかなエンターテインメントの舞台を支えるための、泥臭いけれど大切な努力の跡です。これまでの自分には全く見えていなかったその景色を知った今、現場で働くすべての人へのリスペクトが止まりません。
試行錯誤の最前線にいることの尊さ。明日もまた、丁寧に向き合ってみようと思う
現場の空気は変わっても、誰かを喜ばせたいという想いはきっと変わらないはずです。今日まではただの混乱だと思っていた出来事も、視点を変えれば、一人ひとりが仕事に向き合っているからこそ生まれる熱量なのだと気づきました。
昨日までの正解が通用しない毎日。それでも、そこで生まれる小さな工夫や、新しいやり方を一つずつ積み上げていくこと。その繰り返しこそが「働く」ということの本質なのかもしれません。
明日からは、少しだけ丁寧に向き合ってみようと思います。店長の方針も、スタッフ同士の意見も、そして目の前のお客様の笑顔も。変化を恐れず、でも目の前のことに一つずつ、誠実に。そうやって歩んでいく先には、きっとまた新しい景色が見えてくると信じています。
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